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遺産分割協議で相続放棄は出来ません!

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相続・遺言

相続が発生すると、様々な相続手続きが発生します。
今日はよく勘違いされている方が多い遺産分割と相続放棄についてお話します。

遺産分割協議書で相続放棄はできない

相続の手続きでは、通常は共同相続人全員で話し合いを行い、誰が相続するか、どの財産を引き継ぐか、という協議を行います。
この協議のことを、遺産分割協議と言います。
遺産分割の協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が著名捺印を行います。
この捺印は実印を押印し、印鑑証明書も用意し、その他戸籍等と一緒に相続登記を申請します。
では、被相続人(亡くなった人)が銀行や消費者金融などの貸金業者から借金を抱えていたり、
知人の連帯保証人になって保証債務を負っていたりする場合に、その負債はどうしたら良いでしょうか。

たとえば、相続人のうちの一人が、
「自分が実家を相続して、お墓の維持管理や税金の納税もしていく。その代わりに借金もすべて引き受けるから、遺産分割協議書にハンコを押してくれ」
と言った場合を考えてみましょう。

遺産分割協議書に、

・長男が、自宅の土地・建物を相続する。その他一切の財産(預貯金、自動車、家財道具)も長男が相続する。
・借金も長男が全て相続する。
・次男・三男は、相続を放棄する。

と書いてあった場合、この遺産分割協議書に著名捺印をしたら相続放棄ができるでしょうか?

実は、この内容の遺産分割協議書にハンコを押したとしても、相続放棄をしたことにはなりません。
それどころか、この遺産分割協議書によって、相続を承認したことになり(単純承認)、
今後相続放棄をすることができなくなるという最悪の結果になってしまうのです。

遺産分割と相続放棄の決定的な違い

【相続放棄】

相続放棄の手続きは、家庭裁判所に放棄の申述をするしか方法はありません。
よく「自分は相続放棄をした」という話を聞きますが、家庭裁判所に対し申述を行っていない場合は、相続放棄とみなされません。

相続放棄をすると、はじめから相続人にはならなかったという扱いになります。
この効果は絶対的なもので、相続人とならない以上、どの債権者に対しても、相続放棄したことを主張し、プラスの財産をもらう権利を失うのと同時に、
借金についても払う義務がなくなります。
相続放棄は、原則亡くなったことを知ってから3ヵ月以内にする必要があります。
この3ヵ月という数字は必ず覚えておきましょう。

【遺産分割協議】

遺産分割の話し合いの中で、「借金を相続したくないから相続を放棄する」という取り決めをしたとしても、
それは共同相続人の間で話し合いでしかありません。
したがって、先程の例でいきますと、
長男が借金を払えなくなってしまった場合、被相続人の債権者は、長男以外の次男・三男に対しても、借金の督促・請求をすることができます。
長男以外の次男・三男には、借金を支払う義務があります。

相続放棄のよくある勘違い

先程も説明しましたが、相続放棄についてよくある間違いとして、
「相続人で話し合いをして、遺産分割協議書は相続を放棄するという内容で印鑑を押したから、自分は借金を負っていない、支払う義務はない」
という話がありますが、これは間違いです。

借金を相続せず、債権者から請求を受けない状況を作るには、家庭裁判所での相続放棄の手続きを行う必要があります。
なお、遺産分割の場合でも、例外的に負債者の同意を得れば、借金について免責を得ることができますが、これについては期待しないほうがよいでしょう。
必ず借金を背負いたくない場合は、裁判所に対して相続放棄の申述をしましょう。

遺産分割後に相続放棄はできるか?

遺産分割と相続放棄がどのように違うかという点は、理解していただけたかと思います。
それでは、もうすでに相続人同士での遺産分割協議をして、遺産分割の手続きは完了してしまった。
ただ、やっぱり借金が怖いから家庭裁判所で相続放棄の手続きをしておきたい。
という場合は、相続放棄の手続きは可能でしょうか?

原則として相続放棄はできません。
遺産分割協議に参加して、協議書に著名捺印を行ったということは、
自分が相続人であるということを認めたが、相続財産については受け取らない、という意思表示をしているわけです。
つまり、遺産分割の手続きは相続の単純承認にあたるということになります。

相続について単純承認をした場合は、それ以降、相続放棄を行うことはできません。
借金を相続しないために、よかれと思って遺産分割協議書に印鑑を押したのに、とんでもないことになってしまったという話もあります。
※相続の状況によっては、遺産分割後でも相続放棄ができる場合がありますが、あくまで例外的な取り扱いとなります。
原則として遺産分割後の相続放棄はまずもってできないという点を十分確認してください。

遺産分割協議書に印鑑は慎重に!

このように、遺産分割協議書にハンコを押したから、相続は放棄しているという誤った認識は持たずに、
協議書に印鑑を求められたら、よく確認をして押印するようにしましょう。
押印する前に、財産を一切引き継がない場合でも、
被相続人の相続財産(遺産)の内容・内訳・金額等についてしっかり確認しましょう。
はっきりしていないのであれば、プラスの財産、そして特に借金や連帯保証人などのマイナスの財産があるかどうかをまずは行いましょう。

当事務所が出来ること

当事務所では、開業以来多くの相続手続きのサポートをさせて頂いております。
相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成までお任せください。
併設している税理士事務所・社労士事務所と共にご相談を伺うことも可能です。
相続手続きでお困りの方は当事務所にお気軽にお問い合わせください。

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